日本博オープニングセレモニーをみた!

日本博オープニングセレモニーをみたよ!

日本博は、ざっくりいうと、オリンピックの開催に合わせて文化事業も盛り上げていこうぜ!という企画で、オープニングセレモニーは日本博の開催を記念して、日本の数多の伝統芸能を一挙に鑑賞できるというスペシャルメドレーのことだよ!三月半ばにトーハク平成館の特設ステージで開催予定だったけど、疫禍で開催できなくなり、でも、映像に納めてくれていて昨日テレビ放送、今はTVerで鑑賞できる。(7/19まで)

 

TVer

https://tver.jp/lp/f0052662

 

日本博は、今まで伝統芸能を詳しく知らなかった人たちを強く歓迎してくれている。わたしは伝統芸能に興味がありながらビビって足をあまり運べていないタチなので、これを機会に飛びついてみた!(現地開催ができれいれば足を運ぶつもりだったくらいに)

 

伝統芸能にちょっとでも興味のある方は是非みてね!日本博オープニングセレモニーは、それぞれのエッセンスを見せてくれる、そして映像中で能の方がおっしゃっていたが、「すきなところ」を見つけて楽しむことができる。それがどんなニッチなところでも。実際わたしは意外なところがツボにハマったりして驚いた。

 

さあて、ここからは詳しくわたしの「すきなところ」を書き殴って行こうと思う。伝統芸能素人が書いているので、詳細に間違いがある可能性が高いことをご了承のうえ、よろしくどうぞ!順不同だよ!(ここからはいわゆるネタバレになるので、先に鑑賞をしようと思い立った方は鑑賞が終わってから読んでくれたら嬉しい、そしてよかったところを語り合おうよ!)

 

 

まず、わたしが1番すきだ!と思ったのは、

🍡文楽「団子売(だんごうり)」

文楽は、人形と語り(太夫)と三味線の3つが合わさって物語を紡いでいく技法で、今回の演目は団子売の夫婦が楽しく踊っていた。愉快で可愛らしい踊りを楽しくみていたその時、わたしは、ご婦人〜お杵さんという〜の可愛らしさにひとめぼれしてしまったのだ!

まずなんと言っても、あのふくふくとしたお顔!お餅がそのまま擬人化したらあんな風になるんじゃないかと思うような、頬をぷくーと常に膨らませているようで、かつ機嫌のいい赤ちゃんのように穏やかに微笑んでいる。あんなチャーミングなお顔を伝統芸能で観られるとは知らなかった。

次にお杵さんの踊り!身近な例で言うと「盆踊り」に近いのかなあ、手を上げて下ろして、ひとつひとつの動きがるんるんと陽気に踊っていることを感じさせられて、観ている私たちも楽しくなってくる。

そして、亭主は先に踊り終わってうちわをパタパタしながらお杵さんを眺めている。その空間の空気感というのが、現代のカップルたちにも通じると思う。こころがほっこりする和やかタイムで、ずっとニコニコしてみていた。

また何度でもお杵さんを眺めに行きたい、そう感じた演目だった。人形遣いさん、太夫さん、三味線さん、はもちろん、お人形のお顔を作っている方の技術の高さに感服した。お杵さんのお顔と踊りがほんとうに可愛いくてわたしの言葉では表しきれないので是非その目で確認してほしい✨

 

次にお伝えするのは、

🗣声明「散華(さんげ)」

これ、「しょうみょう」と読む。伝統芸能は詳しくなくともなぁんとなく名前くらいは聞いたことがあるけれど、声明は「こんな伝統芸能があるんだ!」というところからのスタートだった。声明とは、仏典に節をつけた仏教音楽のひとつだという。

始まってまず目をひいたのは、その姿。お坊さん(僧侶の方々)が7.8人ぞろぞろ並んで入場なさったんだけど、まず、僧侶の行列というのをあんまり見ない私にとっては、それは厳かな雰囲気の漂う印象的な姿だった。鎌倉時代桃山時代の絵巻物に描かれる僧侶の行列を思い出した。次に彼らの着ていらっしゃる装束が、袈裟、であっているかな、なんにしてもその重ねた黒色の重厚なこと。そして紡がれる声(歌?)音楽の重厚なこと。

声明は宗教のものだろうから、これからまた劇場などに行って鑑賞できるものであるかも知らないけれど、あの、波の押しては引くような音色の鑑賞をまたしてみたいと思った。

 

さて、次は楽器の演奏をまとめて眺めてみる。(琉球古典音楽は別の見出しを作るのであとで)

❄️笙「盤渉調調子(ばんしきちょうちょうし)」
❄️胡弓「雪(ゆき)」
🌕尺八「寒月(かんげつ)」
🌕篠笛「月」

4種の楽器はそれぞれソロの演奏で、ここまで伝統楽器の音色にひとつひとつにしっかりと耳を傾けたのは初めての経験だったから、音の柔らかさややんちゃさを様々感じたなあ。

それぞれの楽器をざっくり言うと、

笙は木管楽器で、17本の細い竹管が並べられて、音が変えられる穴が開けられている。

胡弓は弦楽器、持ち方はチェロに似ているけれど見た目は三味線に似ているのかな?たくさんの細い毛でできたみたいな弓で演奏する。

尺八は木管楽器で、竹に穴が開いていて、リコーダーを大きくしたような形をしている。

篠笛も木管楽器、竹に穴を開けた横笛、形はフルートに近いように見える。

胡弓の除く三楽器はどれも竹で作られた木管楽器楽器で、例えば尺八の奏者の方は竹一本一本によって音色が違うので自分で竹を選んで尺八づくりをしているようで、金管楽器のように楽器をどれも同じ形にして正確な音を求めるのでなく、自然natureに音色を任せることがおもしろいなあと思う。

 

笙は息を吸っても吐いても音が鳴る、ことが音色からもわかった。日本語は句点(。)を使わず延々と読点(、)だけを並べて話を続けることができる。そのなめらかさ、続いていく感じは、笙の音と同質性があると思うなあ。ずっと聴いていられる。

比較すると篠笛は、音の一つ一つをしっかりと感じた覚えがある。ひとつひとつ音が置かれる、ある種論理的な音色に感じた。

尺八はいちばん、息そのものに近いように感じる。風の音とか、勢いがあって、力強さを感じる機会が多かったなあ。

胡弓は、とても不思議な感じがする。演奏姿がヴァイオリンのような異国情緒を感じるからかな、エッセンスがひとつではないような、不思議な感じ。

 

 

さあお次の見出しはこちら。

🌺琉球古典音楽「伊集早作田節(いじゅはいちくてんぶし)」 

三線と笛と太鼓の3人の演奏者の方によって演奏された。(三線とは三弦の弦楽器)

まず、後述するアイヌもそうだけれど、日本博、と題して琉球王国伝統芸能があってくれてよかった。着ていらっしゃるのがおそらく琉球王国の装束で、着物とは違う薄くてやわからそうな涼しげな生地だったのも印象的だった。三線でどこか切ない歌を歌っていて、高く伸びる笛の音が一層切なげだった。(あと、全然関係ないけど、太鼓が奏者の方の前と横に置いてあって二刀流でかっこいいなと思った)

 

次は舞踊の2つ。

🕊アイヌ古式舞踊「鶴の踊り」
🕊日本舞踊「鷺娘(さぎむすめ)」

舞踊がどちらも鳥のモチーフになったのは偶然なんだろうか、それとも日本の舞踊には鳥モチーフが多いのかな。わたしは、彼らが鳥を好きだったのだと思う。ただ「鳥」と呼ぶのでなく「鶴」「鷺」と名付けて、(鷺娘の方は作中で人に擬態するほど)、彼らは自分の周りで生きる鳥に対して、詳しかった=解像度が高かったのだろうな、と思う。

日本舞踊は、三度の衣装替えが見事だった、それぞれ全く違って見える。やはり最終形態が好きだな、美しいお着物(とくに袖が美しい)に反して弱っている鷺娘の弱々しい羽ばたき。人が舞っているけれど、それは動物の羽ばたきだと心が思った。

アイヌ古典舞踊は4人が鶴に扮して舞っていらっしゃったが、それぞれ衣装の模様が違った。ただ鶴、という概念を舞っているのではなくて、四羽それぞれ個性を兼ね備えた鶴を舞っているんだろうなあと思った。(話はずれるが国立アイヌ民族博物館並びにウポポイ(https://nam.go.jp/)の設立おめでとうございます!アイヌ文化に触れるために、絶対行きたい!)

 

 

そろそろ終わりに近づいてきたかな。次は、

😶能「羽衣(はごろも)」

主演や助演で舞台で舞い踊る演者さんと、楽器の担当者さんと、地の文や脇役を演じる方の3種類の役職でつくりあげられる歌舞劇。

演者さんが面(いわゆる能面)をかぶるので無機質に見える気もするけれど、羽衣を落としてしまった天人が美しいことはありありとわかった。演者さんのお顔がVTRで流れたのだけど、面と衣装を纏った姿は全く違って見えたなあ。

 

🗣合唱「越天楽~花(えてんらく~はな)」

合唱、馴染みの表現形態だ。とくに滝廉太郎さんの「さくら」は教科書にも載っていた。ここまで脈々と受け継がれてきた伝統芸能を続けてみて、ここで合唱が聴けて、私たちも文化の流れの一部にあることを強く感じたなあ。美しい桜の花や朧月を愛でる術をわたしも持っているのだと思い出した。ソプラノからバリトンまで、それぞれのパートのカラーがあって、合唱はおもしろい。


🐅歌舞伎「石橋(しゃっきょう)」

ヨッマッテマシタ! 歌・舞・伎、つまり、歌う・舞う・演じるの三要素の揃った芸能で、今回の演目は獅子の精の舞だった。舞が中心であるのかと思っていたが、強く感じたのは「伎」だった。人ならざるものという神聖さと、獣たりという動物だと納得する動きの数々。長い髪も振り回すのはやっぱり圧巻だった。舞台でみたいなあと強く思う。

 

長らく語ってきて伝統芸能に想いを馳せた。ここで、名前の出ていないものがひとつ、「2.5次元ミュージカル ミュージカル『刀剣乱舞』」がある。彼らはいつも通り素晴らしかった。金打(刀を打ち合って約束の印とする)が多く組み込まれていて、彼らの「われてもすゑに 逢はむとぞ思ふ」の誓いを繰り返していたように感じた。

わたしは他のどの伝統芸能より、この2.5次元ミュージカルに詳しい。やはり、みえているものの解像度の違いを大きく感じた。反対にいうと興味を持って調べて知っていくと、もっともっとそれぞれの伝統芸能のすばらしさをもっとあざやかに理解ができるのだろう、と強く思う。それはここに刀ミュがあったからだろう。文化を知る、その道の入り口に、今も生きる芸能があることが嬉しいな、誇らしい。

 

さあ、記述が終わったぞ、だれかと、それぞれ何がみえたか、何に心を惹かれたか、を語り合いたいな。そうやってゆっくりと伝統芸能の世界にこれからも入っていこうと思う。まずは、お杵さんをもう一度みておこうかな。(おすすめの伝統芸能ありましたらいつでも教えてください💪)

 

ではまた!次の記事でお会いしましょう!👋

 

TVer

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